水素材料先端科学研究センター

高分子材料研究部門

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    水素エネルギー社会を構成する水素機器には、水素ガスをシールするためのゴムや樹脂材料が使用されています。高圧水素ガスへの曝露や水素ガスの加減圧に伴うOリングなど水素シール材の破壊が懸念されています。図にゴム製Oリングの高圧水素による破壊モードを示します。ゴム中に溶解した水素によりブリスタ破壊、はみだし破壊、座屈破壊が発生します。
   高分子材料研究部門では、高圧水素雰囲気に曝露したゴム・樹脂材料の水素ガスによる破壊現象の解明を進めています。材料中への水素溶解挙動を昇温ガス脱離分析や核磁気共鳴法を用いて調べ、材料の破壊挙動との関係を検討しています。さらに、破壊挙動と使用環境、材料組織や分子構造との相関を検討し、耐水素特性に優れた材料開発指針の確率を目指しています。

高圧水素ガスシール用Oリングの破壊モード

破壊モード 原因 対策
ブリスタ破壊 高圧水素曝露時にゴム材料中に溶解した水素が減圧に伴い気化することにより気泡発生からき裂進展に至る. (Oリング用ゴム材料の対策)
  • 水素溶解量の低いゴム配合の開発
  • 硬度が高く,破壊強度が大きいゴム配合の開発
  • 充填材のカーボンブラックは補強効果が高いが水素吸着によりゴムの水素溶解量が増大する.補強効果が高く,水素吸着が小さい充填材を探索
はみだし破壊 水素による膨潤のため,ゴム材料の常態値で設計されたOリング溝の断面積を越える体積増加によりはみ出し破壊に至る. (Oリング用ゴム材料の対策)
  • 水素溶解量の低いゴム配合の開発
  • 膨潤による体積増加率の低いゴム配合の開発
  • 水素溶解量が低いゴム材料の探索
(Oリング溝設計の対策)
  • 使用環境(温度,水素圧力など)におけるゴム材料の堆積増加を前提とした充填率設計
  • 使用環境(温度,水素圧力など)におけるはみ出し破壊,座屈破壊の限界地を把握
座屈破壊 水素による膨潤のため,Oリングの円周方向に体積膨張が発生し,発生に至る.
水素脆化評価研究チームの研究設備例
図1 水素曝露容器付引張試験機水素脆化評価研究チームの研究設備例
図2 高圧水素曝露容器
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